Myuma Gaming Blog

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長文:BALDR HEART レビュー

-十分に発達した科学技術は、魔法と見分けがつかない。 アーサー・C・クラーク-

 

エロゲーこと美少女ゲーム、90年代初期の規制を原因としての閉塞感がありつつも、

独自のゲーム性を追い求めたメーカーやクリエイター、

「家庭用ゲームに負けないタイトルを作る」と言う事で

PCゲームから家庭用向けへの移植、クリエイターに影響を与えて

ときめきメモリアル」を生み出した「同級生」、

チュンソフトが生み出した「サウンドノベル」を雛形としての美少女ゲームとしての「ヴィジュアルノベル」アプローチから生み出された傑作「この世の果てで恋を唄う少女 YU-NO」など

家庭用ゲームへ影響が波及するゲームも多々生み出されていたり、

また、05年前後周辺の美少女ゲームに関しては、サブカルチャー周辺で多大なる影響を受けているクリエイターなどが存在している等、影響力が高い時代もあった。

 

その中で、エロゲーに「サイバーパンク」と言う概念を持ち込んだ時期があり、

選択肢の無い読み進めるタイプのビジュアルノベル、そして「シナリオ担当 虚淵玄」としての傑作「鬼哭街

そしてもうひとつが「BALDR FORCE」だ。

 

片や武侠、片やロボットアニメと見紛うようなアクションと言う食合せとしてイケるのか?と言うジャンルを融合させる実験をしながらの手腕は見事なものであった。

 

そして時は流れてバルドシリーズは数作品(バルドスカイ2作品、前日譚2作品、ファンディスク1作品)出ており、そして最新作である「BALDR HEART」(バルドハート)が

2016年夏に発売され、冬には「BALDR HEART EXE」がリリースされた。

 

遅まきながらも、バルドハートの本編側を一通りプレイしたのでレビューしようと思い、

久々にBlogを更新してみようと言う事で今回の記事を作成した。

 

Pros 良い所

・TEAM BALDRHEADによる定評のあるACT部分とシナリオ運び

・ACTパートの爽快感が高く、コンボ作成などがとにかく面白い

サイバーパンクなストーリーではあるが、特定ルート後半の爽快感が素晴らしい

・ヒロインそれぞれのキャラクターの特徴付け

・BGM等が良く、聞き飽きる事が無い

・シナリオ構造を利用したシナリオ運びの巧みさながら、凪ルートの終わり方が良い映画的な引きである

 

Cons イマイチなポイント

・セクシャル部分必要かな? と思う程ではある(絵柄や展開に比べると・・・)

・EXEなどでも発生している 特 典 商 法 (通販、店頭版、完全初回限定との複数購入、会場限定品など、無印版はEXEインストールで緩和されるがEXEでも同一商法あり・・・)

・パッチによる一部技のマイナス調整や調整点の未開示

・一部キャラクターの掘り下げ描写がやや不足(凪ルートで顕著かと・・・)

 

人によるかな?

・凪シナリオでの繰り返しになる章ごとのクリフハンガー的展開(連続プレイ時には疲れが・・・)

・一部敵の空中コンボや運送系と呼ばれるロック系強制移動技の多様

・メモリ確保失敗の多発

 

要望

・全年齢版やコンシューマー版向けの展開、もしくはACT部分だけに特化したタイトルがほしい、出来が素晴らしいので全年齢版を作ってSteam等での配信をしてほしい

・特典商法がかなりキツい(認証ゲームに紐付け)ので、発売後数年で緩和してほしい

 

とりあえずはPros Consレビューを先に立てておいて、さくっと本文に入ろう。

 

攻殻機動隊及び周辺作品や映画イノセンスブレードランナー、JM、マトリックス、などなど、どんな作品であっても、「サイバーパンクって異様に難解だよね、イノセンスは脳内Googleありきの会話シーンとか」と言う、とにかく深いとっつきづらさなどが高く、サイバーパンクを主題としつつ、「難解さよりもエンタメ感の高さ」をウリとする「ニンジャが出て殺す!!」忍殺ことニンジャスレイヤー、難解さよりも「誰でも楽しめるサイバーパンク」としてのNHKアニメ「電脳コイル」と言う作品群、「こまけぇこたぁいいんだよ!!」なBRINK、サイバーパンク要素はありつつも「極限まで薄める」ミラーズエッジ(機械化などではないが世界観は親しい)とか、捉えようによっては「ボーダーランズ」も一部要素がある等、ここ20年前後のネットワークの発展で、作品の一部にそれっぽい要素を内包すると言う作品は増加している。

サイバーパンクとは遠からず近からずではあるが、サイバーテロを主題とする」ダイハード4.0(当然というか無論というか、筆者も大好きである、野沢那智Verの吹替はいいぞ)など、色々な作品が出ているが、まず一つとしての入り口としてのバランス力の高さは「バルド」シリーズは年齢制限はあるものの、入り口としては良い位置にあると思う。

 

しかし、だ、今回の「バルドハート」に関しては、「あえて入り口には立つが、難解さは一段だけ、オカルティズムは強く出す」と言うゲームになっている。

 

3人のヒロインルートに関しては「多重記憶」、「クローニング」、「セクサドール」であり、なおかつそれぞれのルートで明かされる真実やギミックがあるのだが、全員に絡んでいる「凪」と言うキャラのルートではかなり異質であり、

バルドフォース」で語られていたちょっとしたオカルティズムに関して、思いっきり踏み込む内容になっているのだ、ネタバレになってしまうので書けない部分は多く、実際に遊んでほしい部分ではあるのだが、この開発チームやシナリオライターが得意とする「ゲームを繰り返しプレイすることでの新しいルート開放を利用しての真実への到達」を活かした作劇手法でのシナリオ、相当に練り上げられている中身である。

 

が、故に、このシナリオのクリフハンガー的な盛り上がりっぱなしからの引っ張り多様がやや疲れる部分はあるものの、プレイ時間が他ルートよりも長い分、

あえてGoodルートでは「ギャルゲーやエロゲーらしいオチ」ではなく、

「さっぱりとした読後感やプレイ感のあるオチ」として〆ると言うのはそうそう出来ないんじゃないか、と思うくらいではある。

 

バルドシリーズでは確かに異質ではある学園モノである分だけに、

異質だからこそこう言ったシナリオ運びができるのか、と言う面白さでの引っ張り方は凄く面白かったので機会があればぜひ遊んでほしいかなと。

 

・・・でも、特典商法だけはマジカンベンな!!

 

ACTに関しては言わずもがな、見下ろしタイプの2Dアクションで、今回追加されたF・E・Iアクションを含めた4ボタンとダッシュボタンを使ってのアクションでコンボを組み立て、群がる敵を撃破するのは変わらないが、今回導入されている「兵装少女」に関しては良いモチベーション施策であると思う、使い続ける事により新しい武器やF・E・Iアクション、ゲージ消費技であるフォースクラッシュ等が解禁され、なおかつそれを集めて新しいコンボを組み立てる、と言うゲームが十分に楽しいのである。

レベル稼ぎ問題などは無印ではあるものの、ファンディスクであるバルドハートEXE側では最初から「LV、ヒートゲージ減MAX」等になっており、後は一部育成のみと言う簡易化をしてあると言う仕様。

 

ADVとしてもACTとしても評価が高いので、「久しぶりにエロゲーをやろうかなー」と言う人にとっては特典商法以外は十分にオススメできるタイトルである

逆に言えば「濃密なエロを!!」と言うモノを求める人にはあんましオススメはできないタイトルではあるのだが、個人的には「買い」タイトルではある出来。

 

でもまぁ、サイバーパンク周辺に関しての知識が少しあったりとかすると、さらに楽しめる作品である事には間違いないので、よく語られる作品を1作見た後でいいから遊ぶとさらに楽しめるはず・・・だと思う。